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2018年3月26日 (月)

倉本聰講演会 『当たり前の暮らしを求めて』

倉本聰 さんの、成田山開基1080年祭 記念講演会に行ってきました。
視聴者はなんと1800名。募集人数の凡そ3.5倍でしたが、一部ライブ映像により全ての方が視聴する事が出来ました。さすが新勝寺さん。

倉本聰さんの作品はどれも好きで、特に『北の国から』には印象的なシーンが沢山あります。
広い視野と深い洞察力で、現代人が失ってしまった大切な事柄を鋭く指摘するお話は、どれも心に響くものでした。
長くなりますが、出来る限り紹介したいと思います。confident

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会場の踊り場に飾られていた絵画

東京出身の倉本さんがなぜ北海道に移り住んだのか。
戦争世代の倉本さんは、世の中が「豊か」「便利」になっていく事に不安を覚えたといいます。
生き物達の中で人間だけが、自分のエネルギー消費を抑える (楽する) 為に、代替エネルギー(電気や石油など)を使い、それが生活を豊かにする事だと思っている。
でも果たしてその豊かさは、幸せに結びついて行くのだろうかと疑問を投げかけます。

倉本さんが富良野に移住してきた日は電気がまだ来ていなくて、夜は漆黒の闇。森からは様々な音が聞こえてきて、熊や魑魅魍魎が襲ってくるのではないかという恐怖に駆られ一睡も出来なかったのだそうです。eye
日が昇ってきた時、太陽の光と熱がこんなにも有難いものだったのかと実感したそう。(この話は富良野プリンスホテルで体験できる 『闇の教室』 (私のブログで紹介しています) に繋がっていくのでしょうね)

『人参畑のそばに家があり、市場に出せない形の悪い人参が沢山捨ててある。拾おうかどうか迷った』とか、
『東京郊外で、一か月程放置されていた自転車を修理して子供に使わせていたら、書類送検された話 (裁判官が今どき見上げたものだと全面勝訴) 』 とか
純や五郎がドラマの中で演じた話は、実話に基づいているのですね。coldsweats01

情報には、① 経験した上で得る、第1次情報 ② 経験しない知識としての、第2次情報 の2種類があり、現代の子供は②の情報を 『知識』 として 『記憶』 させられる。それを詰め込むのが教育のようになっている。

創作には、① 『創』 前例にないものを生み出す(つくる) ② 『作』 お金で前例に基づいて作る。という2種類がある。
「ものづくり」というが、今は殆どが 『作る』 の方になってしまっている。
英語でいえばcreationとmakeでしょうか。
日本には伝統的な 「もの創り」 の文化があったのに、それが廃れてしまい、それに伴った産業も衰退している事に危機感を感じるそうです。
輪島塗や、小石丸(絹) のお話をされていました。小石丸を求めて美智子皇后にもお会いしたとか。

私もその事には昔から疑問があって、子供の豊かな想像力を 「暗記」 教育が奪ってしまうのが嫌で、小さい頃は子供達を 『造形教室』 に通わせたり、学校を休ませてキャンプに行ったりしてました。
結果、想像力豊かな、もの創りや自然が好きだけれど、受験に必要な教科が今一つの子供に育ちました(笑)

日本の子供は、経験や想像力が乏しい (教育がそこに価値を置かない) から、知識を生かして何かを生み出す力が乏しいのだと思います。
先日5歳の親戚の女の子と遊んだのだけれど、次から次へと色んな事を思いついて 「ごっこ遊び」 をするんですね。
知識の詰め込みをされていない幼い頃は、誰でも 「知恵」 が沢山あって、想像の力で遊んでいました。
都会に限らず地方でも、大地を踏みしめた事がない子供は沢山いるでしょう。それで本当に大丈夫なのだろうか、と倉本さんは仰っていました。

知識はあっても知恵がない』 (倉本聰)

その事に対する問題提起のひとつが 『北の国から』 や、26年間続いた 『富良野塾』 だったのだと私は思いました。

富良野塾 」は、役者や脚本家を育てる、学費、生活費無料の学校として倉本さんが1984年に設立しました。
資金はゼロ。夏に農協で働いたお金で生活費全てを賄い、畑を作り、家も廃屋から板、窓、クギなど全てを調達してきて建てたそうです。
食費は3食280円。生徒達は考えた末、農産物の40%が捨てられる情報を得て、古くなったけれどまだ食べられる根菜類を了解を得て拾ってきて土の中に埋め、冬の食糧にしたそうです。
北海道の種まきは5月。でも、まだ土が凍っているので 『芽だし』 をしないと芽がでません。今は専用の機械があり、電気で芽をだすそうです。でも、機械を買うお金はない。
そこで塾生が近所のおじいちゃんに聞いてきた情報が、パンストの中に水でふやかした種を包み、一日中お腹にまいておくという知恵。これで、すぐ芽が出たそうです。bud
私も畑を始めて育苗中なので、ほほ〜っと感心しました。体温が男性の方が高いので女性は不向きらしいけれど(笑)

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富良野塾起草文(HPより)

現代社会にはなくてはならない石油ですが、世界の総埋蔵量は残り1兆2千億バーレルだそうです。富士山を盃に見立てると、何杯分残っているでしょう。という質問をされましたが、なんと、一杯分もないのだそうです。fuji
今や農業でさえ電気や石油がないと成り立たない時代。ご先祖の知恵 (種の話のような) がどんどん失われていっている今、農業も危ういと倉本さんは危惧されていました。

着眼点が面白いと思ったのは、現代では 『目に見えないようにする事』 でお金を使わせたり (ex.公衆電話は音で課金がわかった。)、武器を使う事に罪の意識をなくさせたりする (刀や銃で直接殺した時はPTSDになったりしたが、今ではドローンでミサイルをゲームのように打ち込む) というお話をされた時でした。確かに五感を使う事は少なくなりました。

この講演会、見渡すと視聴者は殆どが50代以上のシニア世代。ドラマ「やすらぎの郷」の影響もあるのかな。もっと若者に聴いて欲しかった。think
生まれた時から機械に囲まれ、頼って生活している若者にとって、倉本さんのお話は実感がわかないものかも知れません。
「当たり前」の中身が、昔と今では大きく変わってしまった。だからこそ、倉本さんがやっているようなフィールドワーク「富良野自然塾 」(家族、グループ、学校、企業などを対象に、自然を舞台にしたプログラムがあります) を沢山の若者や子供達に経験して欲しいと思いました。

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